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朽廃の名作

柳下毅一郎著「興行師たちの映画史」を、今年読んだ本のなかでもっとも面白かった本として挙げたい。
スクリーンに映るものだけでなく、「呼び込みと看板」も含めた映画史の見方。内的必然から作品を作る映像作家の歴史ではなく、外的要望から商品を作る興行師の歴史。これがおもしろい!

映画はビデオやDVDになって保存されるわけだが、ビデオやDVDに記録できないものもある。例えば今「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」をDVDで見てもなんも面白くないだろう。あの映画は興行を含めて初めて完成する映画であって、後年になってDVDで鑑賞されることは想定されていない。

「不朽の名作」という賛辞があるが、時間とともに朽ちてしまう作品にも名作はある。今は朽ちてしまったけど、劇場公開時は名作だった、痛みの早い生食用の映画。腐った刺身を食って「臭くて食えん」と言うなかれ。その映画の往時と、旬の香りを想像するのだ。牧瀬里穂がどれだけかわいかったか、俺がどれだけ恋していたかを知れ。「沖田総司はBカップ」って100回叫べ。「幕末純情伝」はそうやって見るんだ。
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by disgust | 2004-12-29 21:34 | 映画とか本とか

いつか使いたい言葉

寒い!そうだ銭湯だ!ってんで行った。

湯に浸かるまえにちょっと迷ったんだが、やっぱり言うのをやめた。
「冷えものでござーい」っていつか言いたいのだ。本で読んだのだが、大昔に使われていた言葉で、銭湯に入るときに使う挨拶らしい。浴槽の先客に対して「すんませんね、あっしは体が冷えているからきっと湯温を下げてしまいますよ」と断るわけだ。銭湯はけっこうマナーが厳しい場所だから、こういう挨拶が生まれたのだろう。なかなか粋じゃないか、「冷えものでござーい」。こんな世知辛い時代ですから、こういう粋な日本語は残していきたいものです。語感もいいし。きっと使ってみたら気持ちいいと思う。いつか使いたい。

山歩きをしてて便意をもよおした時に、同行する仲間に告げる一言「ちょっとお花を摘んできます」というのもいつか使いたい。私は山歩きをしないけども。

私の友人にもそういう、いつか使ってみたい言葉というのがあるそうだが、それは「いやーんバカンス娘たちよ!」だ。たぶん村上ショージのギャグだったと思う。「いやーんばかーん」と「バカンス」を接続し、語尾を「娘たち」で補い、さらに「よ!」と畳み掛ける言葉の荒技。きっと使いこなすにはそうとうな経験と勘を要するであろう。一生を「いやーんバカンス娘たちよ!」に費やしたとしても、完璧に使いこなせるかどうか。
私は友人のチャレンジング・スピリッツに感銘し、その話を聞いて以来、ずっと待っている。彼が絶妙な間とタイミングで「いやーんバカンス娘たちよ!」と吠える、その時を。そして恐れている。彼がその話を忘れてんじゃないかということを。
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by disgust | 2004-12-28 21:47 | 雑記

キンキンにビンビン

今日の「新選組!」の総集編をずーっと見てた。コマーシャルがないもんだからキリがない。ついつい全部見てしまった。M-1どうなったんだろ。
年末だか元旦にテレビ東京が12時間くらい時代劇をやるのが恒例になっているが、あれもつい見てしまい、ついつい5、6時間見てしまう。だいたいテレビ東京が12時間ダラダラやるわけだから、たいしておもしろくない。おもしろくもないキャスティングで、おざなりな演出で、お涙ちょうだい。しかも歴史上のことだから、先が読めるし。12時間だし。でもなぜか見てしまう。たぶん何度もドラマになってる手垢だらけの題材をどう扱うかが、気になるからだと思う。

今年は「国盗り物語」だそうな。斉藤道山が北大路欣也、明智光秀が渡部篤郎、織田信長が伊藤英明。つまんねえキャスティング。
相変わらずだなーとテレビ誌を見てたら、北大路欣也のメイクに目を奪われる。
こんなコントな人が実在したのだろうか。どうなんだテレ東。a0016459_1493598.jpg
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by disgust | 2004-12-27 01:49 | 雑記

ビバノンノ

メリークリスマス!
みなさんいかがお過ごしだろうか。
私はスポンジで水槽のコケやら、得体の知れないヌルヌルを除去しています。

水が冷たい。
水槽を洗っているあいだは、カメを小さい水槽に移す。105円のプラケースなので、ほんとに小さい水槽だ。蓋がないので、カメは身を乗り出して脱走を図る。しかしそこに適温のぬるま湯を入れてやると、カメはちょっとおとなしくなる。お前も風呂が好きか。
コケやヌルヌルを除去したら、今度は陸場の石やヒーターをタワシでこする。なんでヒーターまでヌルヌルだ。意味がわからん。だいたい一日中ヒーターで保温された風呂に浸かっているなんて、カメのくせになんて贅沢な生活してやがるんだ。いや待て。よく考えれば、水槽は風呂であり、便所であり、食卓だ。糞尿と食いカスだらけの風呂なんて、俺はゴメンだな。やはりそこは爬虫類。下等な生きもの。ふふん。
おう、そうだ。下等な生きものの監視を忘れていた。脱走しやがるからな。カメのいる小さい水槽に目を移すと、カメも俺を見ていた。小さい水槽の縁に前足を乗せて、上半身だけを寒風にさらしていた。亀頭からホカホカと湯気。カメは「掃除ははかどっておるかね」と掃除夫に声をかけた。
袖と裾をからげて水びたしの私は「へえっ」と下郎チックな返事。
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by disgust | 2004-12-24 20:38 | 亀甲談

煙突を探せ

寒くなってまいりましたね。
半袖で走り回っている子供を見ると、俺も老けたなと嘆かずにおられん。ももひき。ババシャツ。ルームソックス。ホッカイロ。うちのカメは脱皮を繰り返して、ムケてムケてムケまくってるというのに、 私ときたら着膨れる一方。ムケまくってみたいけど、でも寒いし。今年は暖冬?じゅうぶん寒いわ!

だから私はクリスマスのイルミネーションの向こうに、煙突を探してしまう。子供たちにプレゼントを配るわけではない。そんなことしたら不法侵入だし、第一ミドリガメはソリを引かない。
銭湯の煙突を探すのだ。「梅の湯」とか「松の湯」と描かれた煤だらけの煙突を。出先でちょっと疲れたとき、寒くて腹がたってきたとき、私は煙突を探す。まず高いとこに登る。歩道橋とか。いかにも方向音痴丸出しだが、意外とこの方法で煙突は見つかる。そして見つけた煙突に向かって一直線。のれんをくぐりながらベルトをはずし、靴箱の札を持ったときはもう半裸だ。そして全裸で番台に「貸しタオルくれ!」と絶叫し、冷蔵庫のフルーツ牛乳をチェックしたら浴場へゴー。そして卑屈な顔で誰かが捨てていった石鹸とかシャンプーを漁る。意外と落ちてるもんだ。十分な掛け湯の後、入湯!そして呻く。ほええー。

木戸銭、貸しタオル代、フルーツ牛乳代も含めて、だいたい800円くらいだ。出先で疲れたり、寒いときは喫茶店に行く人が多い。しかしアナルに突き刺さりそうなドトールの小さいイスでコーヒーを飲むより、俺は銭湯を選ぶ。40度の湯に浸かればアナルは全開ヨロシク。ヒーリング的観点から見ても、アナル的観点から見ても、ドトールより銭湯が優れていることは一目瞭然。俺のアナルを見ろ!全開ガバガバだ!だから寒いときは風呂だ!ビバ銭湯!

しかし最近、銭湯がどんどんつぶれている。煙突目指して歩いて行ったら、煙突だけ残して銭湯が潰れていたことがあった。そんなときは身も心も寒くなって、俺のアナルはきゅっと締まるのだった。
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by disgust | 2004-12-23 06:34 | 雑記

太郎とロスコムーン

川崎市岡本太郎美術館
川村記念美術館
天才・たけしの元気が出るテレビ !! DVD-BOX

岡本太郎とマーク・ロスコが、なんでこんなにおもしろいのか自分なりに考えてみたら、「でかいのに無駄だから」という結果になった。美術品を無駄なものって言っちゃうのもアレですけど。でも私は意味も理由もないくせにでっかいというのがツボで、そういうのに出くわすと嬉しくなる。

「早朝バズーカ」をご存知か。テリー伊藤が演出していた「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」の企画。高田純次がただひたすら延々とサンコンさんの睡眠を妨害し続ける(こけしでチンポをつつくなど)。やっと眠ったと思うと、バズーカを撃って起こす。
なに。このくだらなさ。意味のなさ。そんな企画を思いついたとしても、バカバカしすぎてやる気がでないはず。でも、実際やってみると腹がよじれるほどおもしろい。しかし撮影中にその企画に意味を見い出そうとしたり、ストーリーを作ったりすると、つまらなくなる。スカスカでいい、スカスカのまま、しつこくやり抜くところに面白味がある。それで出来上がりがでっかいものになれば最高だ。

岡本太郎の「母の塔」、ロスコの赤い壁画には、テリー伊藤の企画のような楽しさがあった。
岡本太郎もロスコも、なんか理由なり意図があって制作していたのだろうが、ヒマつぶしに美術館に行く私としては、そういう作者の事情とか意図なんて知ったこっちゃない。ニヤニヤ笑ってニコニコ帰宅。
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by disgust | 2004-12-21 23:44 | 映画とか本とか

グリグリとニャンニャン

パンチパーマを好奇の目で見るのはパンチパーマの人にとって非礼であり、私にとって危険である。いけないこととは思いつつも、でもしかしあのグリグリ。
俺は100円ショップへ「イカの姿揚げ」という駄菓子を買いに行った。辛いほうのやつ。店内で刺繍入りの白いジャージに身をつつんだパンチパーマに遭遇したので、絡まれないように注意しながらストーキングした。すごいな、グリグリ具合が。あてたて?かけたて?なんて言うのか知らんが、理容室帰りかな。後頭部のグリグリは店内の照明に照らされて光る。なんていう整髪料だろう?エロイカ?マンダム?しかしグリグリだなあ。グリグリしすぎて地肌が見えているじゃないか。パンチパーマは何を買うのだろう。ポテロングかな。しかしパンチパーマは特になにも買わずに店を出た。外の駐輪場にはパンチパーマと似たような格好の少女2人。だぶだぶのジャージを着て、駐輪場のヤンキー仕様の原チャリを観察し、仲良く感想を述べ合っている。パンチパーマは彼女らになにか話しかけると、駐車場の奥へ、闇に溶け込んでいった。少女たちはあとを追った。
…娘。パンチパーマの娘であってくれ。

しかし愛があれば年の差なんて、倫理なんて、道徳なんて、ヘアスタイルなんて。
俺はイカの辛いお菓子をむしゃむしゃ。
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by disgust | 2004-12-20 01:55 | 雑記

NHK漬け

新選組!最高ォォォ!
再放送で見てまた泣く。
近藤が斬首になる直前、最期の言葉は「…歳」なんだが、あれはアドリブらしいね。脚本に「お任せします」とあったらしい。でもああいう場面、沈黙が長く重く続いたあとでの最期の言葉なんてのは、なんでもいいのだ。もはや言葉が意味をなさない、言葉では追いつけない。

しかしね、大河ドラマっていういろいろ制約の多いフォーマットのなかで、よくやったと思う。だいたい合戦のシーンがすっぽりとない歴史ドラマなんて、野球のシーンがないドカベンみたいなもんだ。
キャスティングが特に素晴らしいなあ、と最後のダイジェストを見てて思った。
清川八郎に白井晃は「なるほど!」と、その適材適所に感心したが、会津候に筒井道隆は「はっ!?」って思った。でも最高にいい殿っぷりだった。

やー、せつないねえ新選組は。
その後の函館戦争、西南戦争も続けてドラマ化してほしいもんですけどね。むかし西田敏行が西南戦争の西郷隆盛を演じていたが、幕末キャラのなかで西郷どんほど難しい役ってないだろうな。今なら誰だろう。…渡辺謙かな?
ちなみに渡辺謙は映画「幕末純情伝」で龍馬を演じているが、これはかなり良い。「おう総司、青春しちょるかよ」って牧瀬里穂に絡む謙さんは良かった。実に。

毎度のことだが、テレビ番組はたれ流しが基本。NHKの番宣も、広報誌も「義経」一色。それもせつねえなあ。
新選組!のDVDが出るそうね。でも俺はいいところだけビデオに録ってある。今から第三十三回「友の死」をもう一回見るのだ。
で、あれね、新選組!は26日から総集編を三夜に分けてやるそうな。異例らしい。やっぱり人気あったんやね。でね、でね、山南切腹の「友の死」だけは30日にまるごとやるそうな。な!やっぱりそこだよな!
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by disgust | 2004-12-18 14:45 | 雑記

骨はつながっただろうか

ゲバラで村おこし、最後の足跡たどる観光企画スタート

ボリビアがチェ・ゲバラで村おこし。
チェはキューバ革命に参戦し、革命後のキューバ官僚になった。しかしその座を捨てて、ボリビアへ旅立ち、そこで第二の革命戦争を指揮した。そしてジャングルでボリビア政府軍に処刑された。
いまその地にチェ・ゲバラ像が建ち、かつての戦地を巡るバスツアーなんかもあるそうだ。以前は敵としていた他国の英雄をあてに事業を起こすのだから、ボリビアの人はちょっと複雑な心境だろう。
「モーターサイクル・ダイアリーズ」の便乗らしい。

先日ニュースでちらっとキューバ情報をやってた。大規模な軍事演習を開始したらしい。キューバは、アメリカがイラク以後にキューバを攻撃すると見て、軍事演習はその牽制ではないか。と解説されていた。「大規模な軍事演習を開始した」と発表しているが、でもキューバ国内はたいして変わりない。とそんなコメントもあった。
で、その軍事演習の開始を記者発表していた人物に釘付けになった。ラウル・カストロ。こないだコケて骨折したフィデル・カストロの実弟。ラウルはゲリラ戦争時の若いころの写真しか見たことがなかった。うわラウルだ!ジジイになってる!あんまり似てねえ!とひとり大騒ぎの夕方。

若くして死んで象徴となったチェと対照的に、フィデルとラウルはガンガン老いた。コケて骨を折ったり、ありもしない軍事演習でハッタリかましたりして、日本のメディアに笑われてる。純粋に理想を追い続け、そのために命も捨てたチェ・ゲバラ。確かにかっこいい。俺も大好きだ。でも醜く老いて、間違いを犯しても、それでも理想と現実をつなぎ合わせようと、50年近くもがき続けているカストロ兄弟もかっこいい。俺はカストロTシャツを着たい。
でもカストロはカストロTシャツを許さない。曰く「まだ生きている政治家は象徴化してはならない」。…かっこええ。
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by disgust | 2004-12-18 01:54 | 雑記

迷子のしるこドリンクと俺

新宿へ走る中央線がカーブにさしかかったとき、しるこドリンクはゆっくり動きだした。
車内に転がっていたしるこドリンクの缶。どこぞの阿呆が捨てていった空き缶。俺のものじゃない。でもしるこドリンクは飼い主を慕う犬のように、俺の足元に転がってきた。加速度をつけて転がってくるしるこドリンク。やむなし!俺は右足のつま先を上げて、しるこドリンクを踏んだ。飼い主を見つけておとなしくなったしるこドリンク。さあ、どうしよう。俺はしばらくのあいだ、捨て子のしるこドリンクを健康器具として扱った。足の裏でぐいぐいと踏みつけて土踏まずを刺激した。スチール缶なのでわりと踏みごたえがある。四谷~四谷~。
はて新宿にごみ箱なんてあったろうか。

電車が新宿に着くと、俺はしるこドリンク踏みをやめて、缶を拾い上げた。この瞬間からしるこドリンクはゴミとなった。もう引き返せない。俺はおまえを捨てる運命にある。思ったとおり、ホームにゴミ箱がない。俺は改札を出た。しかし西口にゴミ箱はなかった。俺はヨドバシの方向へ歩いた。あのへんまで行けばコンビニも自販機もあるだろう。心なしかしるこドリンクはべたべたしてきた。なんて糖分だ。信号待ちしている外人がテイクアウトのコーヒーをうまそうに啜っていた。俺も啜ってやろうか。いや、あとでコーヒー買おう。信号は青に。俺のまえを歩いていた阿呆そうなギャルが植え込みに唾を吐いた。なんだこの女。しかし植え込みは空き缶や新聞が捨てられていて、タンツボのように汚かった。女は正しい。しるこドリンクを持って放浪している自分が阿呆なのだ。
ヨドバシ周辺にもゴミ箱はない。コンビニも自販機もあるのに。キャッチセールスが寄ってくる。うるさい、それどころじゃないんだ。心なしか、しるこドリンクはべとつきを増した。ちくしょう、なんて糖分だ。パチンコ屋のまえに空き缶用のゴミ箱を見つけた。パチンコ屋の店員が通りを掃き清めている。いい奴だな、おまえ。しるこドリンクは啜られたり、転がったり、踏まれたり、べとつきを発散させたりしながら長い旅を終え、いまやっと帰るべき場所に着いた。おつかれさま。
しかし善行を働いたのに、この乾いた気持ちはなんだ。俺はドトールでコーヒーをテイクアウトして、西口に戻った。
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by disgust | 2004-12-16 21:03 | 雑記