藪の中

調べればすぐにわかるのに、あえて調べずに放っておいていることがいくつかある。

村上龍と村上春樹の区別はかなり以前から、藪の中へ放り込んだまま。コインロッカーベイビーズはどっちだったのか。半島を出よはどっちだったか。サッカーが好きなのはどっちか。サリンジャーの翻訳をしたのはどっちか。藪の中だ。
原因はテニスを始めたという知人のツラだ。龍か春樹の小説にテニスを題材にしたものがあるそうで、「俺はその小説を読んでテニスを始めたんだよ」と満ち足りた笑顔の、そのツラ。テニスという軽井沢臭えスポーツもさることながら、下ぶくれの文科系朴訥フェイスをテニスコートに誘い込むという龍か春樹の筆致。知るかそんなもん!知りたくもねえ!と藪の中へ。

中学生のときに、修学旅行で木刀を買った。買うでしょ普通。部屋に飾ったりはせず、ベッドの下に忍ばせた。忍ばすでしょ普通。夜中に振り回したり、鏡のまえでポーズをとったりした。
ある日、木刀がなくなった。すぐに親が捨てたとわかったが、親には聞かなかった。大事なものだったので、腹を立てて親に抗議したり、裏返った声で叫んだりしてもよさそうだが、そのときはむしろ悲しくなって、すぐに寝た。
私が木刀で誰かを殴るのを防ぐために木刀を捨てたのか、それとも金属バット事件みたいに自分たちが襲われるのを防ぐためだったのか。まあどっちでもいいやと、木刀のゆくえは藪の中へ放った。どちらにせよ、親にいらぬ心配をさせるような土産物は買っちゃいかん。誤解されやすい年頃だし。と反省した。
真相はいまだに藪の中。これからも藪の中。
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by disgust | 2005-07-07 20:08 | 雑記
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