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石井隆

むかし好きだった映画を見直してみたら、意外につまらなかったというのはよくある。自分の感性が磨耗したとは思いたくないので、その映画の賞味期限が短かったのだと思うようにしている。

石井隆の「GONIN」。
高校生のころ石井隆にハマって、ビデオで何回も見た。GONINは映画館で見て、ラストの襲撃シーンで興奮しすぎて、心臓がちょっと痛くなった。ほとんどセリフを覚えちゃうくらい大好きだった。見直してつまらなくなってたらイヤだな、と10年以上避けていたが、意を決して再鑑賞。

いやー。今見ても素ん晴らしい。不朽の名作や。最高や。
ネオン管の光、水たまり、ちあきなおみの悲しい歌。石井隆の描くヤクザは滑稽で、哀しい。それゆえに追い詰められたときに、怖い。GONINは登場人物のほとんどが追い詰められるので、後半のボルテージの高さたるやハンパではない。
ストップモーション、ズーム、インサートカット、長回しの多用。ちょっと無茶な演出なんだが、こういう監督のエゴを押し通した映画にだけ現れる、闇雲な疾走感。映画の審美眼がムダに肥えてしまった今の私にさえ届く。死んでいく男の横顔を、こんなにも美しく撮る映画監督が他にいるか?
近年の石井隆は、淫乱女のエロスに集中しているようだが、いまいちどガッツリと男の戦いを描いてほしい。
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by disgust | 2009-09-15 22:27 | 映画とか本とか | Comments(0)